
「世帯年収2,400万円です。子供の教育環境を考えて、再開発が進む品川エリアで1億6,000万円の新築マンションを検討しています。」
都心部の不動産価格が高騰する中、リニア中央新幹線の開通や高輪ゲートウェイ駅周辺の大規模再開発で、最も熱い視線を浴びているのが「品川エリア」です。
世帯年収2,400万円。素晴らしい属性です。「年収の約6.6倍なら、銀行の審査も余裕で通るだろう」と考えるのは当然です。
しかし、銀行の審査担当者として私が注目するのは、「2,400万」という合計金額ではなく、「夫1,500万・妻900万」という内訳です。
今日は、この【不均等なパワーカップル】が、超高額な新築マンションをペアローンで買う際に絶対に知っておくべき「手取りの錯覚」と「リスク分散の罠」について解説します。

現役銀行員 | BANKER × FAMILY
自身も6人家族を支える銀行員として、机上の空論ではない「リアルな家計管理」を発信。東京の不動産市況に精通し、高年収世帯に潜む「税金と固定費」の罠を鋭く指摘する。
1. 夫1,500万の重税…「手取りの錯覚」に気づく
今回のご相談者、長谷川さん夫婦(40代)は、夫が外資系ITで1,500万円、妻が日系大手で900万円を稼いでいます。
ここでまず直視すべきは、「累進課税の恐ろしさ」です。
同じ世帯年収2,400万円でも、「1,200万×2人」の完全対等カップルと、「1,500万+900万」では、手取り額が変わってきます。
- 夫(額面1,500万)→ 手取り 約1,050万円
- 妻(額面900万)→ 手取り 約650万円
- 世帯手取り合計:約1,700万円(月換算 約140万円)
額面2,400万円という響きから「毎月200万くらい使える」と錯覚しがちですが、実際は年間700万円近くが税金と社会保険料で消えていきます。
この「手取りの現実」をベースに、品川の1.6億円マンションの生活費を計算しなければなりません。
2. 月々42万円の支払いと「外資系」の脆さ
1億6,000万円のローンを組んだ場合、毎月の支払いはどうなるでしょうか。
(※変動金利0.5%、35年返済、フルローンの場合)
| 項目 | 月々の金額(概算) |
|---|---|
| 住宅ローン返済 | 約 41.5万円 |
| 管理費・修繕積立金(品川新築タワマン) | 約 6.0万円 |
| 固定資産税(月割) | 約 3.0万円 |
| 住居費合計 | 月額 約 50.5万円 |
月の手取り140万円から、住居費だけで50万円以上が消えます。
さらにお子さんの中学受験(SAPIX等の塾代で月10万〜)が重なれば、固定費は相当な額に膨れ上がります。
銀行員として最も懸念するのは、夫の「1,500万円」の安定性です。
外資系企業の場合、ベース給とインセンティブの割合が大きく、業績次第で年収が1,000万円近くまで下がる、あるいは最悪の場合ポジションクローズ(退職)のリスクが日系企業より高いのが現実です。
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3. 不均等ペアローン最大のリスク「持分割合」
この夫婦が1.6億円をペアローンで組む場合、最も危険なのが「持分割合(借入比率)」の設定です。
仮に、年収比率に合わせて「夫:1億円、妻:6,000万円」で借りたとします。
もし、大黒柱である夫が病気で亡くなった、あるいは高度障害になった場合、団信(団体信用生命保険)によって夫の「1億円」はチャラになります。
しかし、妻の「6,000万円」の借金はそのまま残ります。
年収900万円(手取り650万)の妻が、一人で子供を育てながら、6,000万円のローン(月々約15万円+管理費等)を払い続けることができるでしょうか?
不均等なパワーカップルの場合、残された側(収入が少ない方)の負担が重くなりすぎるという大きなバグが存在するのです。
4. まとめ:品川の未来を買うための防衛策
品川の再開発タワマン。購入すれば、素晴らしい生活と資産価値が手に入るでしょう。
しかし、超高額な借金を背負うからこそ、以下の「3つの防衛策」を必ずセットにしてください。
- 絶対に「連生団信(夫婦連生型)」に加入する
(※どちらかに万が一があれば、1.6億円全額がゼロになる保険を選ぶこと) - 夫の「就業不能保険(働けなくなった時の保険)」を手厚くする
- 新築プレミアムに固執せず、品川周辺の「築10年優良中古(1.2億円前後)」も並行して内見する
世帯年収2,400万円あれば、選択肢は無限にあります。
だからこそ、不動産営業マンの「買えますよ」ではなく、銀行員の「どう守るか」という視点を忘れずに、後悔のない家選びをしてください。
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